第16章:結果の再利用②(処理中・失敗・タイムアウトの設計)🌀⚠️

16.0 この章のゴール🎯
この章では、同じ冪等キー(Idempotency-Key) が再送されたときに、
- ✅ まだ処理中ならどう返す?
- ❌ 失敗した結果は「同じ失敗」を返す?それとも「やり直し」させる?
- ⏳ タイムアウトで結果が分からないとき、どう安全にする?
…この“実務で揉めがちな3点セット”を、迷わず設計できるようにします😊✨
16.1 まず大前提:冪等キーは「同じ試行のチケット」🎫🔑
冪等キー(Idempotency-Key)は、HTTP の非冪等になりがちな操作(POST/PATCHなど)を“リトライ安全”にするための仕組みとして広く使われます。 (IETF Datatracker)
ここで大事な考え方はこれ👇
- 同じキー = 同じ試行(同じ注文作成の“1回分”)
- やり直したいなら、新しいキー = 新しい試行
つまり、同じキーで結果が変わるのは基本NGです(クライアントが混乱するし、二重実行の温床😵💫)。
16.2 状態を3つに分けると一気に分かりやすい🧠✨
冪等キーの保存テーブル(第12章)に、最低でもこの状態を持たせます👇
- InProgress(処理中) 🌀
- Succeeded(成功) ✅
- Failed(失敗) ❌
そして、同じキーが来たときの返し方はこう整理できます👇
- ✅ 成功 → 前回の成功レスポンスをそのまま返す(第15章の続き)
- 🌀 処理中 → “処理中”を返す(or 待つ)
- ❌ 失敗 → “失敗も再利用するか?”を方針で決める
16.3 「処理中(InProgress)」をどう返す?3つの定番パターン🌀📮
パターンA:2回目以降は“待って”同じ成功を返す(同期で吸収)⏳
考え方: 同じキーの2回目が来たら、1回目の処理が終わるまで待って、終わったら同じレスポンスを返す。
メリット✅
- クライアントは楽(最終結果が返ってくる)
- 202などの“処理中レスポンス設計”が不要
デメリット⚠️
- 待ちが長いと、サーバーの同時処理枠(スレッド/接続)が詰まりやすい
- タイムアウトの設定次第で泥沼(待ってたのに結局タイムアウト😇)
パターンB:202 Accepted + Retry-After で「処理中」を返す(おすすめ)🌸

HTTPの 202 Accepted は「受け取ったけど、まだ完了してないよ」を表せます。 (MDNウェブドキュメント)
さらに Retry-After ヘッダーで「次は何秒後に来てね」を伝えられます。 (MDNウェブドキュメント)
**返し方(例)**👇
- ステータス:
202 Accepted - ヘッダー:
Retry-After: 2 - ボディ:処理中 + ポーリング先URL
{
"status": "processing",
"message": "ただいま処理中だよ🌀 少し待って同じキーで再送してね🙏",
"pollUrl": "/api/idempotency/9f0c8d7d-...."
}
メリット✅
- サーバーが詰まりにくい(待たせない)
- “長い処理”や“外部API待ち”と相性◎
- タイムアウト設計が綺麗になる✨
デメリット⚠️
- クライアントが“再問い合わせ(ポーリング)”を実装する必要あり
パターンC:409 Conflict で「今それ処理中!」を返す😤
409 Conflict は「今の状態と衝突して処理できない」を表します。 (MDNウェブドキュメント)
ただ、“処理中”は衝突というより状態通知なので、APIの雰囲気としてはパターンBの方が馴染みやすいことが多いです🌸
ちなみに実在サービスでも「処理済み or 処理中」をエラーコードで返す例があります(例:Adyenのエラーコード 704)。 (docs.adyen.com)
16.4 「失敗結果」を再利用する?方針は2択+中間案❌🔁
方針①:失敗も含めて“最初の結果を丸ごと保存して再生”🎥(強い)
例として Stripe は、最初のレスポンスのステータスコードとボディを、成功/失敗に関係なく保存して再送時に同じ結果を返す方針を明記しています(500 も含む)。 (Stripe ドキュメント)
メリット✅
- 「同じキー = 同じ結果」が徹底されて超分かりやすい
- タイムアウトや通信切れでも二重実行を起こしにくい(安全寄り)
デメリット⚠️
- 一時的な障害で
500を踏むと、そのキーはずっと500(キーを変えない限り) - “同じ注文をもう一度やりたい”場合は、クライアントが新キーを出す必要あり
方針②:成功だけ再利用。失敗は“状況によりやり直しOK”🔁
よくある中間ルールはこれ👇
-
4xx(入力ミス/バリデーション):失敗を保存して再利用(同じミスを繰り返しても同じエラーを返す)📝
-
5xx(サーバー障害)/タイムアウト:
- “処理が本当に失敗した”と断言できないなら、InProgress扱いにして 202(→ 後で確定させる)🌀
- 断言できるなら Failed を保存して再利用(ただし運用は要注意)⚠️
ポイント💡 5xxやタイムアウトは、実際には成功してるのに失敗に見えることがあるのが怖いところです(=二重実行の地雷)💣
16.5 タイムアウトの“3種類”を切り分けよう⏳🧠
(1) クライアントが先に待てなくなった(クライアント側タイムアウト)📱⌛
- サーバーは処理を続けていて、実は成功してるかもしれない
- だからクライアントは 同じキーで再送 が正解🔁✅
(2) 途中で通信が切れた(ネットワーク断)📶💥
- これも結果が分からない代表
- 同じキーで再送して、サーバー側で結果を再利用できるのが理想✨
(3) サーバー側のタイムアウト / リソース不足(503など)🖥️💦
503 Service Unavailableは「今処理できない」系の代表です (MDNウェブドキュメント)- この場合も
Retry-Afterがセットされることがあります (MDNウェブドキュメント)
16.6 実装設計:Idempotencyテーブルに“状態+レスポンス保存”を持たせる🗃️🛡️
16.6.1 追加するカラム(最小構成)🧾✨
Key(ユニーク)RequestHash(同じキーで別リクエストを防ぐ)State(InProgress / Succeeded / Failed)ResponseStatusCodeResponseBodyResponseContentTypeCreatedAt,CompletedAt
✅ 同じキー + 違うリクエストは危険なので、
RequestHashで必ず弾きます(不正利用にも強くなるよ🔒)
16.6.2 「同じキーなのに内容が違う」を 409 で止める🚫
409 Conflict は“状態の衝突”の表現として使いやすいです。 (MDNウェブドキュメント)
{
"title": "Idempotency conflict",
"status": 409,
"detail": "同じIdempotency-Keyが、別のリクエスト内容で使われました😵💫"
}
16.7 ハンズオン:処理中(202) → 完了後に同じ結果を返す🧪🔁
ステップ1:わざと処理を遅くする🐢
例:注文確定で Task.Delay(5000) を入れる(デモ用)
ステップ2:同じキーで2回叩く🔁
Windowsの curl 例(改行継続は ^ )👇
curl -i -X POST "http://localhost:5000/api/orders/confirm" ^
-H "Content-Type: application/json" ^
-H "Idempotency-Key: 9f0c8d7d-1111-2222-3333-444444444444" ^
-d "{\"orderId\":123,\"amount\":5000}"
すぐ同じコマンドをもう一回実行👉
すると2回目は 202 Accepted が返ってくる想定(処理中)🌀
ステップ3:少し待って、同じキーで再送🔁
- まだ処理中ならまた
202 - 終わっていれば
200/201(成功)+前回と同じボディ✅
16.8 ミニ演習📝✨
演習1:あなたのAPIの「処理中レスポンス」を設計しよう🌀
次を決めてね👇
- 処理中は
202?409? どっち? Retry-Afterは何秒にする?- ボディに何を入れる?(status / pollUrl / message など)
演習2:失敗結果の再利用ポリシーを1枚にまとめよう❌
おすすめフォーマット👇
- 4xx:再利用する?(する/しない)
- 5xx:再利用する?(する/しない/場合による)
- タイムアウト:InProgressに寄せる? Failedにする?(理由も!)
16.9 小テスト(サクッと)✅💡
-
同じ冪等キーで、別のリクエスト内容が来た。返すならどれが自然? A. 200 OK / B. 202 Accepted / C. 409 Conflict / D. 500 Internal Server Error
-
202 Acceptedが表す意味として正しいのは? (MDNウェブドキュメント) A. 完了した / B. 受理したが完了していない / C. 不正なリクエスト / D. リソースが作成された -
Retry-Afterは何を伝えるヘッダー? (MDNウェブドキュメント) A. 何秒後にリトライしてね / B. どのユーザーか / C. 暗号化方式 / D. 署名情報
16.10 AI活用プロンプト集🤖✨(コピペOK)
- 「冪等キー方式で、処理中(InProgress)を返すAPIレスポンス案を3つ。HTTPステータス、Retry-After、ボディ例つきで」
- 「失敗結果を再利用する/しないの判断基準を、4xx/5xx/タイムアウトで表にして」
- 「“クライアントがタイムアウトしたけどサーバーは成功してた”を、図解っぽい文章で説明して」
- 「このAPIの状態遷移(NotFound→InProgress→Succeeded/Failed)を、初心者向けに1枚の説明にして」